ジャカルタ弁その2【~sih】
☆☆☆☆☆☆sih★★★★★★
【前置】
とりあえず、「文」を理解する時に、
- 命題に関するマーク「内側」のマーク
- 話し手の意図・感情に関するマーク「外側」のマーク
というのがあります。そして、インドネシア語には、II が多いです。
特に、ジャカルタでは、様々な人種が混在してて、事実よりもまず感情を相手に伝えることが先なので、II がとても発達しています。そして、柳田國男氏によれば、文化は、波みたいに広まるので、ジャカルタ弁は、インドネシア各地に伝わって来ると言っても過言ではありません。従って、ジャカルタ弁の取得は、欠かせないことだと思われます。
【本題】
-sihは、基本的に話し手のイライラする気持ちを表していますが、翻訳の仕方は色々あります。ケースごとに分けていきましょう。もちろん、今回の分類に入っていない用法もありますので、少しずつ整理しておきます。とりあえず、広く使われる用法からはじめたいと思います。
- 疑問詞に付く時、
但し、sihの前の2音節を伸ばせば伸ばすほど、イライラ度がアップ!するのです。
例文:
- Si Nobita ma~na, sih? ノビタのやつは、何処なんだよ。
場面:出発の時間なのに、ノビタ君がまだいない。
si ちゃん・やつ
mana どこ・どっち
- Koizumi itu orangnya yang ma~na,sih? 小泉って、人は、どの人なの!?
小泉ってどの人なの?
場面:選挙の時に、色んな人が登場して、小泉がどの人か分からなくなる時
orangnya 性格が・人が
yang mana どれ・どの・どっち
- Ka~pan,sih,pulangnya? いつなの?帰るのは
いつ帰るの?
場面:奥さんがバリに長く滞在しすぎてついつい….
kapan いつ
pulang 帰る
解説:
★~の記号は、長く低く抑えることを意味します。例えば、
ka~~~pan,sih.
・
・
・ ・
・・・
授業に来て頂くのは、一番ですが、イントネーションだけを是非、ジャカルタ人か都会人のお友達に習って下さい。地方の人は、出来ない人もいるからです。
★~の記号が無い、つまり、上記の例で言うと、kaの部分は、短い場合、「イライラ度」が無くなりますが、本来の疑問文の機能も衰えます。疑問文は、ご存知のとおり、「相手から情報を聞きだす」ことですが、~sihが付くと、「話し手が何かを伝えること」になるので、カジュアルに聞こえます。メールの場合、どのように発音するかは分からないので、疑問詞の後に付けばもっとカジュアルな会話になります。
- 語,sih語
この用法は、sihの本来の意味から考えにくいのですが、幸いにも、それに近い日本語の表現があります。
例文:
- Cantik,sih,cantik, tapi sayangnya bau sekali. 綺麗なことは綺麗だが、残念ながら、臭い。
cantik 綺麗
sayangnya 残念ながら
bau 匂う
sekali とても
一言:Project P というお笑いグループがあって、私が中学校の時に、よく上記の歌を聴いた。
- Bisa,sih,bisa.Tapiiiiii 出来ることは出来るけどおォ…..
bisa 出来る
tapi しかし
一言:インドネシア人は、相手のことをハッキリ断ることが出来ないので、このフレーズがよく出てきます。bisaを聞き取るだけでは駄目です。最後まで聞いて下さい。以前、仕入れをしてた生徒さんは、次の場面で、酷い目にあいました。
A: Sampai minggu depan, bisa,tidak?
来週まで出来る?
B: Bisa, sih, bisaa .
出来ることは出来るが。。。
bisaだけを聞いたので、来週まで仕上げてくれると思ったら、締め切りの時に間に合いませんでした。[bisa,sih,bisa」という表現を知るまでに、インドネシア人ってアバウトで、いい加減って言いましたが、知ってたら、その気持ちが少し治まったようです。やはり、郷に入っては郷に従う ですね。インドネシアには、インドネシアの世界があります。それを理解するには、「入り込む」しか無いんですね。
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