ジャカルタ弁の考察『インドネシア語概論:文②』

2019年7月15日

ジャカルタ弁の考察『インドネシア語概論:文②』

************************

インドネシア語において、次の図式が成り立っています。

———————————–
文の意味:【文が述べる事柄】+【A】

———————————–

但し、内容によって形が明確に区別される【文】は、

  1. 平叙文
  2. 疑問文
  3. 命令文

という風に分けることが出来ます。

【A】は、コミュニケーション時における話し手の心境・感情の印です。

次の文を見ていきましょう。

**************************
【A】が、平叙文につく場合

**************************

  1. 【Saya  makan   nasi.】

      私は主食がご飯である。

      私はご飯を食べた。

  2. 【Saya makan  nasi】,lho!

      私は主食がご飯だよ。

      私はご飯を食べたよ。

  3. 【Saya makan  nasi】,kok!

      玉蜀黍とかじゃなくて、私は主食がご飯なんだよ。

      パンとかじゃなくて、 私はご飯を食べたんだよ。

    解説:

  • 【基本文】+ lho は、

    『相手が分かっていなさそうな・知らなさそうな事柄・情報をただ伝えるのです。』

    一方、

  • 【基本文】+ kok は、

    相手の思い込みを正そうとして、正しいと思われる情報を相手に伝える時に使用されます。また、自己弁護をする時もよく使われます。従って、少し、キツく感じられるかもしれません。』 

※2と3の【基本文】の種類は、『平叙文』です。また、3の平叙文の内容は、話し手が”良い”とされる事柄が多いです。

    例:

  1. 相手は、話し手の知っているAちゃんについて、どうも、あまり良い印象を持たない。しかし、話し手は、その相手の“Aちゃんについての情報”を正そうとして、次の発話があります。

     【Si A itu tidak jahat】,kok.

    Aちゃんはね、(君が思ったように)悪魔なんかじゃないんだよ。

これは、流石に、聞きようによっては、Aちゃんのことを弁護しようという意図が読み取れます。

*****************************
【A】が疑問文につく場合

*****************************

  1. 【Saya makan apa】,sih?

      私は、何を食べたんだ。

     (なぜ、お腹がこんなに痛いのか) 

    解説:

  • 【疑問文】+ sih? は、

     sihの方に、イントネーションが急激に上がる場合、疑問の意味を失い、話し手の不満を表すことになります。

    インドネシア人のお友達がこのような調子で、何かを言うと、実は答える必要がありません。その時、お友達は、”何を食べたか”ということを言おうとするのではなく、食べ物に関する不満・苛立ちを言うので、その気持ちを受け止めましょう。例えば、Kenapa? perutnya sakit,ya?(どうしたの?お腹の具合は悪いの?)という反応を見せれば良いのです。

********************************************************

Posted by アルビー