ジャカルタ弁の考察『インドネシア語概論:文②』
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インドネシア語において、次の図式が成り立っています。
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文の意味:【文が述べる事柄】+【A】
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但し、内容によって形が明確に区別される【文】は、
- 平叙文
- 疑問文
- 命令文
という風に分けることが出来ます。
※【A】は、コミュニケーション時における話し手の心境・感情の印です。
次の文を見ていきましょう。
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【A】が、平叙文につく場合
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- 【Saya makan nasi.】
私は主食がご飯である。
私はご飯を食べた。
- 【Saya makan nasi】,lho!
私は主食がご飯だよ。
私はご飯を食べたよ。
- 【Saya makan nasi】,kok!
玉蜀黍とかじゃなくて、私は主食がご飯なんだよ。
パンとかじゃなくて、 私はご飯を食べたんだよ。
- 解説:
- 【基本文】+ lho は、
『相手が分かっていなさそうな・知らなさそうな事柄・情報をただ伝えるのです。』
一方、
- 【基本文】+ kok は、
『相手の思い込みを正そうとして、正しいと思われる情報を相手に伝える時に使用されます。また、自己弁護をする時もよく使われます。従って、少し、キツく感じられるかもしれません。』
※2と3の【基本文】の種類は、『平叙文』です。また、3の平叙文の内容は、話し手が”良い”とされる事柄が多いです。
- 例:
- 相手は、話し手の知っているAちゃんについて、どうも、あまり良い印象を持たない。しかし、話し手は、その相手の“Aちゃんについての情報”を正そうとして、次の発話があります。
【Si A itu tidak jahat】,kok.
Aちゃんはね、(君が思ったように)悪魔なんかじゃないんだよ。
これは、流石に、聞きようによっては、Aちゃんのことを弁護しようという意図が読み取れます。
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【A】が疑問文につく場合
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- 【Saya makan apa】,sih?
私は、何を食べたんだ。
(なぜ、お腹がこんなに痛いのか)
- 解説:
- 【疑問文】+ sih? は、
sihの方に、イントネーションが急激に上がる場合、疑問の意味を失い、話し手の不満を表すことになります。
インドネシア人のお友達がこのような調子で、何かを言うと、実は答える必要がありません。その時、お友達は、”何を食べたか”ということを言おうとするのではなく、食べ物に関する不満・苛立ちを言うので、その気持ちを受け止めましょう。例えば、Kenapa? perutnya sakit,ya?(どうしたの?お腹の具合は悪いの?)という反応を見せれば良いのです。
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