指示詞の面白い話
以前、指示詞の意味的な広がりについて、書いたことがありますが、時間の概念にまで、展開できるとは、最近、改めて、驚きました。皆さんとの授業は、私にとっても、勉強になります。
指示 | やり方 | 数量 | 時間 | 場所 |
itu | beg-itu | seg-itu | k-itu(x) | s-itu |
ini | beg-ini | seg-ini | k-ini(x) | s-ini |
指示詞とその意味的な広がりに対応する疑問詞 | ||||
apa | bagaimana | se-berapa | k-apan | di mana |
- 今回の話題は、kiniです。私は、何回か授業で、kiniと出会いましたが、何かやはり、ini と関係あるのではないかと思いました。しかし、もし、それは、正しいとすれば、当然ながら、k-ituもあるはずですが、実際にはありません。
この問題を解くには、実は様々な資料や考察が必要ですので、ここではあくまでも仮定的な話をしたいと思います。
- 疑問詞の話
siapa は、si-apaから来るのではないかと思います。
si cantik 可愛い子ちゃん
si kembar 双子ちゃん要するに、『~さん』を表すために、si が使われています。昔は、(これは私の推測ですが、)、庶民には、『名前』の制度が無いので、結局、呼び名『何ちゃん』で、呼ばれます。
従って、
si-apa は 何ーちゃん で、現代語では、『誰』になっています。他の疑問詞は、
meng-apa –>me + apa なぜ
ber-apa –>ber+ apa いくつ2.から、apaの前に、くっ付く接頭辞の種類によって、疑問の意味が変わる ことが分かりました。
- 時間的な要素の『k-』
k-apa-n は、k + apa(n) という風に解釈すれば、時間を表す『k-』が出来るのです。『これをインドネシア語における事実として証明するために、通時的な研究の資料が必要ですが、ここでは、仮定の話だということを改めて忘れてはいけません』従って、3が正しい事実のであれば、
k-ini と k-itu が言えるのです。
k-iniという語が存在するのですが、k-ituという語が存在しません。 - コトバは、一対一が基本。 時間は、『過去』『現在』『未来』という順番で、転々と転んで行きます。
iniは、『話し手』の縄張り・意識の範囲内・行動範囲内のことを指します。
ituは、『話し手』の縄張り・意識や行動の範囲の外にあるもの・ことを指します。
k-iniは、sekarangと同じような意味で、使われています。つまり、『現在』のことを指します。しかし、インドネシア語の指示詞は、『内』と『外』しか区別がしないので、現在の外は、『過去』と『未来』を指すことになり、矛盾が生じます。従って、k-ituという語は、上記の時間の意識と矛盾しているので、存在しないのも当然である!
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注意:
上記のk-ini とk-apanの関係の話は、『言語学的』な手続きはしなかったので、実際に、あったかどうかは、まだそのような資料を見たことがありません。kiniというコトバを覚えていただければ、狙いなので、あまり、途中のお話を気にしないで下さい。
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